動脈硬化性疾患は⾷の欧⽶化に伴い⽇本の国⺠病となっています。中でも虚⾎性⼼疾患(冠動脈疾患)の患者は国内に100万⼈以上いると推計されています。⼤動脈瘤、⼤動脈弁狭窄症もこれら動脈硬化が基礎にあるとされており、⽇本のみならず世界においても、主に先進国を中⼼として有病率の⾼い疾患です。また、カテーテルアブレーション(カテーテル焼灼術)治療の登場により、⼼房細動をはじめとする不整脈性疾患の治療件数も年々増加しています。このような背景もあり、医療資源の持続可能性という観点から、いかに効率よく必要⼗分な治療を⾏うかが今後の医療の質を維持する上で重要だと⾔えます。

 ⼀⽅で、冠動脈疾患(狭⼼症・⼼筋梗塞)は⽐較的若い現役世代でも多い疾患であり、これらの治療の成否は患者個⼈のQOLはもちろん、⽇本経済全体にも直結する問題です。近年、カテーテルの進化、技術の発達により、従来は外科⼿術でしか治療ができなかった症例において、⽐較的低侵襲に治療が⾏われるようになりました。それに伴い難易度の⾼い⼿術をカテーテルで⾏う機会が増加しています。最近⽇本でも導⼊されたTAVI(経カテーテル的⼤動脈弁置換術)もそのひとつであり、従来⼈⼯⼼肺下に⼼臓を⽌めて弁を交換していたものが、カテーテルを⽤いて治療することが可能になりました。

 われわれが開発するトレーニングシステム「HEARTROID」は⼼臓カテーテルの初学者、更なる技術の向上を⽬指す医師に最適なものとなっています。このシステムの開発には近年⽬覚ましい進歩を遂げつつある3Dプリンターの技術を⽤いており、⼿術リスクや⼿術時間といった患者さんにかかる負担を低減するとともに、わが国のみならず世界の医療経済に資することができると考えています。

『⼤阪⼤学ホームページより許可を得て引⽤』

⼤阪⼤学 ⼤学院医学系研究科 循環器内科学HP【HEARTROID PROJECT】ページ
(URL : http://www.cardiology.med.osaka-u.ac.jp/?page_id=33676